キャンピングカーの種類 日本では「キャンピングカー」と呼ばれていますが、成り立ち的にはキャンプというより旅グルマ。RVとかモーターホーム、モーターキャラバンなどと呼ばれている種類のクルマのことを言います。で、そのキャンピングカーにもいろんな種類があります。北米で決まっているカテゴリーの呼び名を中心に、ここでは自走式モーターホームについて説明。 |
ClassA |
自動車会社から、特殊車輌用に供給されるエンジン・フレーム・駆動系だけで構成される基本ユニットを使って、キャンピングカーメーカーが独自に作るキャンピングカー。シェル(居住部分)だけでなくキャビン(運転席)のレイアウトにもキャンピングカーのオリジナリティが出ます。ボデイは多くの場合、シャシの上に組んだスペースフレームにFRPやベニヤ、ウレタンなどの断熱性の高い素材を組んで作られています。
|
ClassB |
自動車会社から売られているフルサイズバンのボディをそのまま使ったり、ルーフ部分や横幅を拡張したり、小規模な改造だけに留めてキャンピング仕様に改造したクルマを指します。特に商用バンを改造したものが多く、アメリカ、カナダではGMシェビーバンやクライスラーダッジラム、フォードエコノラインなどのフルサイズバン(ミニバンではない)を使います。ヨーロッパではメルセデス313が多く使われるようです。
|
ClassC |
自動車会社から、貨物車、キャンピング車、特殊車輌用に供給されているキャブ(運転席)付きのシャシーを使い、キャンピングメーカーがシェル(居住部分)を独自に取り付けたキャンピングカーを指します。ベース車はアメリカではフォードエコノラインE350が最もポピュラー、ヨーロッパではメルセデス316、フィアットデュカト、日本ではトヨタがキャンピング車専用キャブとしてカムロード、三菱はキャンター救急車用などが有名です。
|
バスコンバージョン(バスコン) |
ここからは日本の規格による種類です。JRVA(日本RV協会)が分類する名称です。
|
キャブコンバージョン(キャブコン/トラックボディ) |
日本で最もポピュラーなカタチのキャンピングカーが、キャブコンバージョン(キャブコン)です。カムロードやキャンター、エルフなどライトトラックを改造することが多いため、トラックボディー(Tボディー)という言い方をする人もいます。アメリカのClassCと同じ工法で作られています。主に日本車ベースなのがキャブコンで、アメ車やヨーロッパ車をベースにしてものがClassCと覚えても間違いではないでしょう(ヨーロッパではさらに別のカテゴリー分けで呼ばれています)。キャブコンの主流は1t〜2tクラスのライトトラックを使ったものですが、この事による最大のメリットは、なんといっても最小のサイズで最大の居住スペースを確保できるという点でしょう。幅2m、長さ5mのクラスでも、アメリカンClassCの21ft(長さ6.3〜6.5m)車に匹敵するほどのユーティリティを持つクルマが多く存在します。もちろん広々とした感覚には劣りますが、ベース車の燃費の良さや丈夫さなどと相まって、合理性重視という点では、このキャブコンに勝るものはないのではないかと思います。ただし短所もあります。エンジンパワーに対して重量が重くなりがちという点です。ゆっくり走るクルマですから、それほど強大なパワーは必要ありませんが、高速道路など、時としてアンダーパワーがドライバーにとっては極度の緊張を強いられる状態というものが存在するのも確かです。また、ディーゼルエンジンやオーバーキャブ(運転席が前輪の真上か前方にある)のため、エンジンの発熱や振動対策が難しい構造のクルマもあります。ただし最近ではその改善策として、ピックアップトラックやSUV、ガソリンエンジン車、グランドハイエースなどの乗用バンをベースに作るなど、バリエーションが広がってきて、急激にそのクオリティが上がってきているとも言われています。
|
バンコンバージョン(バンコン) |
アメリカで言うところのClassBに相当するカテゴリーですが、普段「バンコン」と言った場合にはもう少し小さいクルマを使ったものを指すのが普通です。日本製やヨーロッパ製のワンボックス車や、最近ではミニバンやキャブワゴンをベースにしたバンコンがたくさん走っています。外装は基本的にそのままで、ルーフを高くしたり内装にキャンピング装備を施します。小回りが効くので普通 のクルマから乗り換えても全く違和感がないし、これ1台で通勤にもキャンプにも使えるという、オールマイティな魅力を持ったカテゴリーです。バンコンと言えばなんと言っても、ドイツのウェストファリアが有名です。古くはVW Type2(ワーゲンバス)を改造して作られたキャンピングカーは、無駄なところのない、自動車としてもキャンピングツールとしてもかなり考えられた装備を持っています。VWバナゴンの車内に家族4人で寝泊まりしても十分くつろげるというのは脅威です。日本でベース車で最も人気が高いのはなんと言ってもトヨタのハイエースでしょう。バンコンの短所は、アメリカンClassBと同様、やはり決定的に室内が狭いという点と、断熱の問題も付いて回ります。けれども最小限の装備で身軽にどこへでも行けるアドバンテージは、日本の交通事情や観光設備の充実ぶりを考えれば、欠点を補ってあまりあるものだと思います。1000万円で自立型のモーターホームを買ってビバーグするか、400万円のバンコンを買って温泉を巡り、たまには旅館やレストランで贅沢をするかというような、ちょっと視点を変えたコストパフォーマンスに思いめぐらせることができるのも、日本ならではの話かもしれません。特に1〜2人で気ままに旅をするというスタイルに向いているのではないでしょうか。
|
Copyright 2002 Chihiro SATOW. All rights reserved. Maintained online by chihiro@st.rim.or.jp