7 クルマじゃなければなんなんだ?(2000/08/25)

 

「アルファはクルマじゃないよな」

そう言われると「そうかもなあ…」とか、自分でも「クルマじゃないんだよな」とか言ってみたり、ちょっと不安になって、ふとダッシュボードを拭いてみたりするのです。

『でもなんか失礼だよね…クルマじゃなければ、んじゃ何よ?』

アルファって、基本的にクルマ全体の、ネジというネジが全部ゆるんでる感じ。

関節という関節全てがヘルニア寸前という感じ。

イグニションキーを捻った瞬間から、本当に「ヤバい」感じ。

そこまでいかなくても「ああなんかボロい…」って感じ。

ところが、ある時、何かのタイミングで それまでバラバラにガシャガシャ言ってた部品が 突然、生き物のように動き出す。

アルファは変身する。 全部が熔けて一体になって、ドライバーにリズムを提供する。

エンジンのビートやノイズとかそういうのではありません。

挙動や速度、ステアのタイミング、荷重移動 いろんな要素がある一点でピタっと揃ったあるリズムがあって このリズムに乗っかった時 アルファは恐ろしく精度の高いマキーナになるのです。

ドライバーが考える前にクルマの方が勝手に走り始めます。

調子がいいとか悪いとかとは違います。

そのタイミングがいつ来るのかも分かりません。

しかもその時々によってテンポや起きるタイミングも違います。

でも、慣れてくると、それが何となく引き出せるようになります。

リズムに自分を合わせられるようになります。

そのリズムに乗っかるためには、クルマのゴキゲンを伺い伺い乗ってもダメ。

「ガっとやって、グっといって、ダーっ」と走る。

といっても、乱暴に運転するんじゃなくて、 なんていうか、アルファがリズムをくれるまで ひたすら問いかけてるような、そんな感じ 。

楽器。 そう、アルファは、楽器を弾いてるのととても似ているのです。

今まで乗ったクルマの中で、 楽器に例えられるクルマはアルファだけですね。 それだけは言えます。


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