パッケージング
 パッケージングを簡単に言ってしまうと、室内や荷室のスペースをどのように確保してデザインに反映させるかという検討の事。そこには数値的な根拠や人間工学が入ることはもちろん、感覚的な要素や文化意識まで反映される。だから「これが正解」という明解な答えはないが、コンセプトに準じてはっきり目指す基準はある。
 ちなみにヨーロッパ製の小型車の場合、スタイリングに優先して室内を広く採る傾向があり、有効体積を非常に気にする。日本車の場合は、パッケージングというのはクルマのカテゴリーによって許容値が暗黙にあるのか、車格や全長によってだいたいのラインが割り出せるクルマが多い。
そのため単純に両者を比べると、同じスペースでの有効体積には随分と開きがある。数知的な差も歴然とあるが、感覚的な差はもっと激しい。これは身長差という問題だけでは片付けられない、煮詰めの時間の差に見えてならない。例えばシートと室内幅の相対関係は、ヨーロッパ車と日本車では全くその縮尺が違う。あるいはフロントウィンドウの位置や角度が、ドライバーが心理的にベストポジションをとれない様になっているクルマも日本車にはある。
 敢えて狭く作っているクルマのカテゴリーもあるという(「囲まれ感」という意味不明な単語)話をどこかで聞いた事があるが、時折自分のクルマから国産車に乗り替えて見ると、「広く作るべきクルマ」であってもその閉塞感に具合が悪くなることがある。それを考えると、どうもユーザーの嗜好性というよりは開発陣の普段の生活の問題の様に思えてならないのだが。



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