16:gtv2.0(1982)の錆について(1997/11/18) |
いきなりですが、僕が出会い、今も愛車にしているgtv2.0('82)は、結論から言えば今だに乗りっぱなしの利く「実用車」です。プラグチェックも要らないし(そもそもロッジなんて、開けて見ても調節するところすらない)いつでも一発始動(一度バッテリーが終わってかからなくなったが、一週間ほったらかしにしたので車庫でヘソを曲げただけ)。だからもちろん仕事での移動にも使うし、雨の日だって高速を*+60km/hで巡航してもビクともしません。 まあ、そのへんの詳しいインプレッションはおいおい。 しかしてその内外装は、普通の中古車の基準から言えば中の下程度(アルファ水準で言えば未再生としては中の上?)、いや、殆ど普通の中古車なら選択肢から外れる様な状態と言っても過言ではないでしょう。ただ、アルファの場合見た目にそうであっても、別の言語があり、それに沿って見ればあながち「悪い」とは言い切れない場合があるようです。その中で最も我々アルフィスタを悩ませる錆の状況について、82年式の特徴的ポイントを5つほどピックアップします。参考資料としてお使い下さい。 1:モノコックと外板の防錆加工はほぼ完璧 ちょうど1982年はアルファが本気で防錆に取り組み出した年と言われています。(正確な時期(車台番号等)をご存じの方はぜひ教えてください)その効果は、確かに外板全般には確実に表われています。例えば'70年代のAlfettaの弱点として言われる、ウィンドウスクリーン周りと、トランリッドの排水部分には、錆は皆無でした。当然、床やサイドフレーム周りも完璧な状態です。要するに強度に関する部分についての錆は皆無でした。防錆塗料の塗布状況についても、同時期の日本車より格段に進んでおり「アルファが錆びる」というのは、これ以降のモデルに関しては完全に偏見であることは明白です。逆に言えば、外板の何でもない部分に錆が進行しつつあるとすれば、それは過去に「何かが起きた」と解釈せざるを得ないでしょう。 2:パネル溶接部分の錆は深刻 タイヤハウスとフェンダーパネルの継ぎ目、ドアの袋部分、ドアサッシの溶接、外板スポットに関しては一応防錆処理剤の塗布はありますが、それを突き破って、排水がうまく行われない、あるいは湿気が残りそうな部分への錆の集中が見られました。これは同時期の防錆保証期間を過ぎたクルマには全般的に言える事ですが、アルファの場合、特に細部の溶接後の防錆と排水の効率についてはあまり進歩していなかった様です。この部分を気にするか否か、これは非常に悩ましい問題です。というのは、ワンオーナーで大事に乗られているか意識的に板金処理をした記録がある場合を除いては、僕が今まで見た82年以前のアルファの中で、この「継ぎ目」の部分に錆の痕跡がないものは皆無だったからです。どちらにせよ、いずれかのオーナーの段階で、こういった部分の板金処理をしっかりし、その後の排水に気を配らなければならない事は確かです。問題は「誰がそのコストを背負うか」です。 3:チャンネル類など別素材の錆は深刻 AlfettaGTシリーズには特徴的なリアクォーターウィンドウサッシと三角窓(マイナーチェンジ後ははめ殺し)がありますが、このチャンネルは根元の方でかなり錆が進行していました。このチャンネル材は、各所で今だに錆が進行しつつあります。特に僕の場合は左後側チャンネルが深刻で、根元付近がほぼ半分位まで溶けかかっており、隙間が見える様な状態でした。これは購入後、即攻で部品を購入し、自分で交換しました。ハンドリベッタ、ドリルとドライバさえあれば簡単に交換できます。 それともう1点、後部座席足元のカーペットをめくると、ちょうど缶コーヒーほどの直径の水抜きの穴が空けられています。これは普段、内側から薄いブリキ板で栓がされ、下側からタール剤で密閉されていますがこのブリキ板が完全に錆びていました。 ボディパネルには及んでいませんでしたが、このブリキ板がクセもので、錆びない訳がないようなチャチなものが付いています。Alfettaオーナーの方は、一度この部分を内側からチェックする事をお勧めします。純正部品が供給されているかどうか分かりませんが、手に入ってもガッカリするだけです。それだけヒドい代物です。代用として「キリン午後の紅茶ロイヤルミルクティー(280ml)の底」を使う手があります。冗談の様なマジな話。 4:ヘッドライトの錆 これはアルファの問題というよりはキャレロの問題です。キャレロのポイントライト付きリフレクタは、その開口部の密封性が悪く、下1/4が錆びてリフレクタの用を成してしませんでした。しかも当時の並行輸入車やイギリス仕様車は、リフレクタ自体に光軸調整機能が付いており、現在、キャレロ(今はマレッリ)のポイントソケット+光軸調整付きのオリジナル(右ハンダー仕様)の入手が非常に困難になっていることもあって、僕は今、その対策に頭を悩ましています。シビエにしても東芝にしても、光軸専用のステーがないことにはどうしようもないのです。伊藤忠仕様についてはこの問題は心配ないようです。 5:マフラーの錆 アルファのマフラーは錆が宿命の様に言われていますが、同時期の並行輸入車や、中古輸入などで後づけで触媒が設けられたクルマは特に注意が必要とのアドヴァイスを、現在の主治医から受けています。本来、触媒付近にはボディからつり下げられるステーが触媒取り付け時に省略されている場合があるとのこと。これで、完璧にマフラーは落ちるそうです。実際、僕も2度マフラーを落として爆音族になった事があります。この部分が落ちた場合はいくら溶接で補強しても何度も落ちる事になるので、チェックされたほうがいいと思います。僕の場合は一式交換し、ステーを製作してもらうことで完治しました。 総合的に見て、僕の購入したgtvは、ある期間イギリスで乗られていた形跡があり(書類から推定)、融雪剤のせいか錆びるポイントが見た目にはダイナミックに錆びています。が、その後の詳細なチェックでは、構造的に一切問題はありませんでした。 「ま、いっか。できるところは自分でなんとかするよ」 |